飛行機の中あれやこれや考え事をたくさんしながらの帰国でした。
思えば7月に『津波に襲われて朽ち果てつつある写真を世界中の人に観てもらいたい』と被災した写真を展示する写真展を思い立ちNYに企画書を持って行ったのが始まりでした。ご縁がご縁を呼びたくさんの方達の支えにより、来春とうとう開催の運びとなりました。写真だけではなく4部構成となっていてとても力強い展示会になることでしょう。
NY在住の画家中川直人画伯,彼は被災地に何度も足を運び『被災地・希望の1000人のポートレート』という活動をされています。被災者のみならず被災地のために力を貸したボランティアや自衛隊、消防士そんな方のポートレイトを描いています。いつもにこやかにあたたかく人々に接するそんなお人柄の中川画伯は来年で渡米50周年。1000人のポートレートを描こうと思ったきっかけは、アメリカが悲しみに沈んだ9.11のあとに日本の子どもたちが息子さんの通われる学校に千羽鶴を贈ってくれたことに由来するそうです。
そしてそのポートレイトも残すところあと172枚。3月ごろ来日し活動予定です。
NYで活動する写真家マグダレーナ・ソーレさん、彼女は震災後すぐに飛行機に飛び乗り津波の水もまだ引かぬ被災地にレンタカーで入り取材をしました。土地勘は無い日本語はできない、頼りのはずのカーナビも日本語ではわからずご主人に国際電話をしてPCをみてもらいナビをしてもらったそうです。そんな彼女は12月にまた東北に足を向ける予定です。私は彼女の力強い写真の中に彼女の優しい視線が注がれている構図がとても気に入っています。
最後に朝日新聞に掲載された被災者の短歌、5,7,5,7,7,の中に秘められた悲しみや人間の力強さ、ふるさとに対する愛情そんな短歌をアメリカの大学で古文や現代文学等を専門としている教授陣に英訳してもらったもの・・・
それらをたくさんの人たちが行き交うグランドセントラルステーションで開催しようというProjectが『Voices From Japan』なのです。
11月15日に行われた全体会議は、学者や弁護士、ファウンデーションの代表、エディター達が集まりました。
展示に対する様々な意見や、お金の集め方、・・・・多岐に渡り話し合われました。
上記の場所がグランドセントラルのイベント会場の片側です。このショッピングブースがもう1列足されたとても広い場所なのです。営利目的ではお家賃が月ン千万円だそうです。
実現に向けて全力投球です。
といっても今まで通り新しく発見された写真の保存活動に従事したり今までとやることは変わりません。いえ、絶対に変わってはいけないのです。
世界中のどこかで同じことが起き、悲しみ、忘れ・・・でも忘れないで時々は思い出して覚えておいて欲しい、これはどこにでも起こりうる出来事なのだと発信していきたい原点がそこにはあるのだから。それが私が写真保存活動を始めたブれることのない思いだからです。